犬のアトピー性皮膚炎とアレルギー性皮膚炎の違い

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[最終更新日]2018/11/17[公開日]2016/10/03

みなさんは「現代病」という言葉を聞いたことがありますか?

現代病とは、時代が進むにつれて技術が発達し、便利な世の中になっていく一方で、今までにはなかった生活様式や環境などが原因となり、発生したり蔓延したりする様々な病気のことを指して言う言葉です。

うつ病や機能性胃腸症といったストレスが原因となる病気を始め、喘息・花粉症・アトピー性皮膚炎といった、日本人口の3分の1が罹っていると言われているこの様な病気も、現代病の一つとして挙げられています。

犬のアトピーの正体とは?

今日はそんな現代病の一つ、アトピー性皮膚炎についてお話しさせていただきます。

実はこの病気、人間に限ったことではなく、犬にも存在する厄介な病気なのです。

ではそもそも、アトピーとは一体なんなのでしょう?

言葉は聞いたことがあるけれど、実際にはどういう病気なのかちゃんと説明出来ない、なんとなく言葉だけ知っている、という方も少なくないと思います。

アトピー性皮膚炎とは、アレルゲンとなる物質の吸引で発症する皮膚炎のことです。

アレルゲンとは、アレルギーの原因となる抗原物質のことで、薬物・金属・食餌中のタンパク・ノミの排泄物・花粉などが挙げらます。

もっと大雑把に言うと、その生体にとって、都合が良く有利に働く物資は免疫となりますが、都合が悪く不利に働く物質はアレルギーとなるのです。

アレルギーに個体差があるのはそのためで、自分の家の犬は大丈夫でも、お隣の犬にとってはアレルギーになってしまう、というのはこういうことなのです。

犬のアトピーを分かりやすく解説

分かりやすく、ノミアレルギー性皮膚炎を例にとって説明してみます。

ノミアレルギー性皮膚炎による痒みは、ノミが刺すからという単純な刺激によるものもありますが、ノミの唾液がアレルゲン(抗原)となってアレルギー反応を起こすことにもよります。

そのため、ノミに対するアレルギーがない犬であれば、多数ノミが寄生していても軽症で済んでしまうことがあるのです。

対して、ノミアレルギーを持つ犬にとっては軽視出来ない問題となり、獣医による適切な処置が必要になります。

先程から頻繁にアレルギー、アレルゲンという言葉が出てきていますが、実は一口にアレルギー性皮膚炎といってもその範囲は非常に広く、アトピー性皮膚炎とアレルギー性皮膚炎も同じものではなく、アレルゲンとなる抗原によって区別されています。

とは言っても、生体外にあるアレルゲンに感作(特定の抗原を与え、同じ抗原の再刺激に感じやすい状態にすることを言います)して生じる皮膚炎であるということは同じです。

食餌がアレルゲンになるものを「食餌性」、アレルゲンとなった物質に接触することで発症するものを「接触性」、そして、アレルゲンとなる物質の吸引で発症するものを「アトピー性」と呼んでいます。

食餌性のアレルギー性皮膚炎は季節に関係なく起こり、犬種を問わずに発症します。

アレルギー性皮膚炎全体の発生数からみると1割程度と少ないようですが、アレルゲンとなる食物は多く、主としてタンパク質に原因があります。

犬では様々な肉類、牛乳、卵や穀物などがあげられています。

犬の接触性アレルギー性皮膚炎とは

接触性のアレルギー性皮膚炎では、生活環境中のあらゆる物質がアレルゲンとなってしまい、シャンプー・ノミ取り首輪・絨毯・食器(合成樹皮性)などとの接触により発症します。

アレルゲンと接触した部位に炎症反応が起こり、強い痒みが出て湿疹状態となります。

アトピー性(吸引性)皮膚炎は遺伝的素因として免疫グロブリンE(IgE)抗体が産生されやすい体質の犬に発症します。

犬におけるアトピー性皮膚炎の発症率は前出の2つの皮膚炎と比べてはるかに高く、ハウスダスト・花粉・ダニ・心筋などがアレルゲンとなり、これらを吸引して発症します。

さらに、症状が発現するタイプによっても「即時性」というアレルゲン感作後すぐに症状が現れるものと、「遅延型」という感作後24〜48時間後に発症するものの2つに分けることが出来ます。

いずれもアレルゲンを取り除くことによって症状は軽くなります。

いずれの皮膚炎においても、必要になってくるのは正しい治療法です。

皮膚炎の治療は長くかかってしまうことが多いので、かかりつけの獣医としっかり相談し、治るまで根気よく治療を続けてあげてください。


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